相談事例4

AC-IR計測技術の開発支援

電池の特性は、AC-IRを取得する事で特性キャッチするという手法がありますが、
1KHz以下の正弦波を電池に印加してインピーダンスを計測する場合、

・充電と放電を繰り返すために充電できる電力が必要で、装置が大型化しコスト高となる。
・正弦波の周波数を正確に制御し、徐々に切り替えていく制御が必要。
・0.1Hzでの測定に約10秒と低周波数帯の測定に時間が必要。

以上の問題が考えられ、
これを簡易かつ高速で測定出来ないかという事で取り組もうとしている会社様からの委託業務にて開発を一緒に行いました。

手法として簡単に説明すると放電方向へ電子スイッチを利用し、矩形波放電制御を行います。その時の電流と電圧を計測し、
フーリエ変換した後にインピーダンスを算出するといった方法です。
本来であれば、充放電で測定すべきですが、今回は放電だけで測定しています。
これで算出した値に対し、フーリエ変換を利用してCole-Cole plotを作ります。

この手法の利点は、
・放電のみの為、必要電源が制御用だけになり装置自体の消費電力が少ない(約300mW)
・矩形波制御を個々に数回行うだけにしており、放電に対し連続制御が必要ない。
・複数周期個所(例えば、0.2Hz、1.5Hz、12Hz、100Hz等)の計測だけになり、数秒程度で計測が完了する。
という特徴があります。
測定周期域については必要に応じて変更が可能となります。
結果に対し、遅い測定周期をもっと早めても問題なければそれで対応する事も可能になり、さらに計測が早く出来るという事が可能です。

結果はフーリエ変換に多少問題があり、この部分を業務委託依頼会社様が特許化して解決しています。
以下が結果です。
2種の性能の異なる電池計測した結果となります。(〇緑△黄が良品、〇青△橙が劣化品。)


△は今回制作した装置で計測した結果、〇は標準(市販品)のAC-IR測定器で計測した結果です。
フーリエ変換の高次項にズレてくる傾向ですが、概ね市販品と同じものが算出できます。

なお、この計測結果の所用時間は約14秒です。

この装置で電池の特性を高速に計測する事が可能となる為、
中古のリチウムイオンバッテリー等に対しランク分けや状態を高速に判断出来る期待があります。

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