相談事例5
Libパック制御部確認
電動モビリティ用に用いる電池パックを外部へ開発依頼したものに対し、BMS回路部、制御部、絶縁性能に関して確認して欲しいという依頼に対する相談事例になります。
電池パックは中国へ開発依頼したものであり、主には制御回路に問題が無いか確認して欲しいという内容であった。
相手企業様は電気制御に関係する人材が居なかった様子で知人を通じて今回の依頼へ繋がりましたが、なんとこの会社様が私の別の知人も複数知っている会社様でした。
いやはや電池を扱う業界は狭い事でよく言われていますが、すぐにどこかで繋がってくるのは日々感じる事である。
さて、依頼内容に関して触れますが、主にはBMS回路のチェックをしてもらいたいという話ではあったが、依頼の蓋を開けるとなんと、回路図が提出出来ないという事実が発覚し、出せる資料としては仕様書、要求書、ブロック図、全体3D図面等で情報源が少ない状況の中の依頼であった。
回路のチェックを行うのに回路図が無いという事実は痛い所ではありましたが、ブロック図の中に使用するメインの部品の名称等が記載されていた為、それを元に今まで経験してきた電池パックのBMS回路のブロック構成や使った事のあるICを使用されていた事もあり、ブロック図から構成をイメージし、問題がありそうな部分のチェック及び指摘を行っていった。
単にブロック図だけを見るだけでは判断は難しく、電池パックの仕様書から相手への要求書、さらには制御方式も確認した上で問題となろう項目を洗い出していった。
仕様的には24直列の電池監視ICを2段積みといった良く行う行為ではありましたが、一番気になった部分ではやはりという事で消費電力がパック内でアンバランスを起こす構成になっていた。
開発者からの意見ではバランシングがあるという事で問題無いという事です。という回答で終わったが、やはりこの部分はアンバランスを起こさないようにした方が賢明ではないかと感じる。
他には大きな問題点もなく、概ね問題がない設計になっていると見られたが、回路部の詳細が見えなかった為、実際の所は開発者頼りとはなった。
次に絶縁性能に関してUN-R136という基準に対して準拠しているかどうかという内容と共に電池パック全体の3D図面を見ながら確認していった。
3D図面を見る事は専門外ではあったが、今はフリーのソフトで簡単に閲覧可能だった為、導入して確認していった。
こちらも、絶縁距離等に関しては問題はなかったが、筐体が金属筐体となっていた事もあり、電池セル自体が角形の金属筐体となっていたのでこの筐体が電気を帯びている事もあり、外観の筐体と接触している設計となっていた。これ以外でBMSの設置位置や配線具合等を見ても特に問題があるようには見られなあった。
中国のパックメーカー様では名を聞く所ではありましたが確認する事は必要だと思います。
自社内にチェックが出来る人が居ない事は辛い企業様ではありましたが、こういった開発する電池パックのチェックも開発の中では重要な工程かと思います。